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この治療の先に、どんな時間がありますか?

  • 和田仁
  • 2月20日
  • 読了時間: 3分

前回のブログでは、理想と本音がバラバラな状態を「生活習慣の、内・外 分裂症」と呼び、見た目だけを整える「外づら健康法」についてお伝えしました。


今回はそのお話を一歩深めて、がん治療の現場で見える景色を、少しだけ共有させてください。


医療における正しい「形」と、ふと感じる違和感


がん治療、特に抗がん剤治療には診療ガイドラインという世界共通の標準的なルールがあります。これは医療における一つの正しい「形」です。この形があるからこそ、私たちは迷わずに治療の舵を切ることができます。


でも、現場で長く患者さんと向き合っていると、ふと、こんな思いがよぎることがあります。

「検査の数値(外側)は安定している。だから予定通り、治療を続けよう。でも、この患者さんの毎日(内側)から、笑顔が消えてはいないだろうか?」


医師にとって、やっかいな分裂


例えば、副作用で体が悲鳴を上げているのに、投薬を続けてしまう。 医師としては、薬を出し続けることで標準治療という「形」を保てますし、ある種の納得感や安心感を得られます。


でも、もしそれが、患者さんのその人らしい時間を削ってまで行われているとしたら。 それは、前回お伝えした数値だけを整える「外づら健康法」と、どこか似ていないでしょうか。

薬という外側の「形」を整えることに必死になって、患者さんの生きる力という「内側の本質」を置き去りにしていないか。これは、私たち医師にとって、一番やっかいな分裂なのです。


医療という「形」に、温かな血を通わせるために


もちろん、治療を諦めるわけではありません。抗がん剤が効いているからこそ保たれている今が存在しているのかもしれません。


ただ、病気を治す(外側)ことと同じくらい、その人がその人らしく生きる(内側)ことを支えるために、医療という形はあるはずです。


何より、抗がん剤に希望を託している患者さんの想いは、誰にも変えられない、とてもデリケートで尊いものです。だからこそ、データという形を超えて、一緒に考える対話が必要なのだと思います。

この治療の先に、あなたのどんな時間が待っていますか?

そう一緒に問い直すことで、医療という形に、温かな血を通わせることができるのだと信じています。


最強のセルフケアは、自分に誠実であること


内と外を一致させること。

これは、健康診断の数値を良くすること以上に、人生の最後の一瞬まで自分自身に対して誠実であるための、最強のセルフケアです。


皆さんの毎日も、誰かの決めた正解という「形」に振り回されるのではなく、ご自身の心が心地よいと感じる方向へ、一歩ずつ進んでいけますように。


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