Be I(ビーアイ)宣言:ぞうかば先生が遺した10の言葉
- 和田仁
- 5 日前
- 読了時間: 3分
これまで2回にわたり、「科学の盾とこころの衣替え」「こころの防災」というテーマで、私の医療哲学についてお話ししてきました。
今回は、その哲学を誰よりも見事に体現してくださった、ある方との出会いと別れについてお話しします。
「Be I(ビーアイ)宣言」
実は、私がこのブログやラジオでずっと掲げてきた、手書きの「Be I(ビーアイ)宣言」と題された10条の言葉があります。
この言葉を遺されたのは、東北を代表する芸術家のお一人、「ぞうかば」こと関口怜子先生です。
関口玲子先生は、仙台城址の麓、かつて伊達政宗公の軍師・片倉小十郎公の住処があった歴史ある場所に立つ、仙臺緑彩館にも深く関わられました。
また、当クリニックのすぐ近くにある西公園では、子どもたちの先生としてアートを通じて一人ひとりの個性を輝かせる活動を、長年情熱的に続けてこられました。
私と関口玲子先生との出会いは、昨年のことでした。
出会ってまもなく、先生ががんを患われていることがわかり、私は医師としてよりも、一人の知人として何度か面会に伺いました。
関口玲子先生が遺してくれた言葉を目にしたとき、私は強い衝撃を受けました。前回お伝えした『Being』の考え方、そして、主役としての生き方と、驚くほど根底で繋がっていたからです。
第1条: 自分になるために人は生まれてきた
第2条: いいとこはみんなちがう
第3条: いっしょにいるだけで!
第5条: 自分がどうしたいか聞いてみる
第8条: Look Good! Feel Good!(素敵に見えよう、心地よくいよう)
誰かと自分を比べなくていい。
「あなたはそのままで素晴らしいんだよ」と、大きな毛布で包み込むように肯定してくれる言葉たちです。
そして、医療と向き合う中で、私が深く考えさせられたのがこの二つです。
第9条: 生かされている。生かしていく。
第10条: 失敗は成功のだしの素
私たちは、大きな命のつながりの中で「生かされている」。
失敗だって、人生を美味しくするためのダシに変えてしまえばいい。
料理も得意だった関口玲子先生らしい、優しさにあふれた言葉です。
統計や確率がどうであれ、たとえ可能性が1%であったとしても、それを生きる本人にとっては、それが「100%の人生」なのです。
最後の、無言のアート
七夕の日、関口怜子先生の葬儀が執り行われました。
葬儀会場へ向かう直前、私はこれまでに見たことのない色合いの「白黒のトンボ」を見かけました。『Being』を体現するように現れ、ひらひらと舞って消えていった、その姿。
日本の民俗学において、白黒のトンボは「神様とんぼ」と呼ばれ、お盆の時期にご先祖様や亡くなった方の魂が姿を変えて会いに来てくれる、と語り継がれてきたそうです。
きっと、無念を抱えつつも自分のままで生き切った、ぞうかば先生の『Be I』の魂が、葬儀の前に私のもとへ一瞬立ち寄り、
「私はここにいるよ、ありがとう。あとはよろしくね」と伝えてくれた。
そんな、最後の無言のアート、メッセージだったような気がしています。
関口怜子先生のご冥福を、こころより深くお祈り申し上げます。
いただいた温かいバトンは、これからも私の医療哲学として、しっかりと次の誰かへ生かしてまいります。



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