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顔の陽子線治療から8年 ― 中国から届いた婚約の吉報

  • 和田仁
  • 1月29日
  • 読了時間: 5分

更新日:2月2日


エピソード

2018年、当時高校生だった中国人の女の子が、目の奥にできた大きな腫瘍を治療するため、陽子線治療を受けに私が勤めていた病院へ来院されました。顔への照射は、異国の地で病気を治すことはもちろん、その後の成長や外見への影響、今後の進路・進学など、未成年で多感な時期の彼女とご家族にとって、不安は計り知れないものだったと思います。当時、ご両親から相談も受けました。


それから8年。先日、久しぶりに連絡をとった私が当時お世話になった医療通訳の方を通じて、彼女の「今」を知ることができました。なんと、この5月に結婚されるというのです。送られてきた写真には、吸い込まれるほど美しい笑顔の女性が写っていました。


彼女はその後、北京大学附属病院での治療を継続され、病状は落ちついているとのこと。彼女の姿は、私たちが提供した医療が、単なる「延命」ではなく、彼女の「未来」を創ったのだと教えてくれました。


今回、彼女とご家族が、写真やデリケートな情報を、結婚という人生の節目においてこのブログで公開することを快諾してくださいました。

この大変貴重なご決断に、心から感謝しています。

 

中国医療ツーリズムの現状と課題

彼女のようなケースは、今の日本の医療インバウンドの一つの希望の形です。

ニュースでは中国との外交問題が取り沙汰されますが、民間の信頼はまた別です。中国の富裕層の方々は、国際情勢に関わらず、日本の確かな医療技術を信頼して今も来日されています。


【仲介業者の役割とコスト構造】

中国から来る患者さんの多くは、仲介業者を介して医療機関にたどり着きます。仲介業者は渡航手続き、医療機関との調整、通訳手配、滞在先の確保など包括的なサービスを提供しています。

日本の医療機関で外国人患者を受け入れる体制が整った施設がまだ限られていることもあり、専門的なサポートには相応のコストが発生するのが現状です。今後は、より透明性の高い情報提供と、患者さんが適切な選択をできる環境整備が業界全体の課題といえるでしょう。


【医療通訳の専門性と課題】

外国人患者さんの対応は、通訳を介するため通常の2倍以上の時間がかかります。初診や方針説明に2時間を超えて費やすこともあります。しかし、医療通訳と共に、患者さんの抱える不安の根源を一つずつ解きほぐしていくこの濃密な時間こそが、患者さんの安心と満足を育み、過酷な治療を完遂させるための「心のインフラ」となります。

医療通訳は普通の通訳とはかなり異なります。実は、医療通訳にはいくつかの専門資格制度があります。ただ現状は、専門の医療通訳ではなく、日本に留学している学生などを雇うケースも少なくありません。医療の専門用語がわからず説明不足となる場合や、薬の用法用量を誤って説明することもあるそうです。


【通訳を介した診療の難しさ】

実は日本人患者さんに説明しても、医療用語ばかりできちんとご理解されないことが少なくありません。まして、言葉の違い、距離の問題、文化や考え方の違い、金銭的な問題など、外国の方の診療は本当に大変です。

特に英語以外の外国語だと、通訳の方を介して患者さんに診療説明内容がどの程度伝達されたのか、気になる所は少なくありません。今の時代は翻訳ソフトを上手に活用する手もあるのかもしれませんが、難解な医学用語も多数ありますし、まだそう簡単ではなさそうです。


【日本の医療への期待】

中国の大都市の総合病院では、患者数が多く一人当たりの診察時間が短くなりがちという課題があると伺っていました。

中国の方々は、日本の確かな医療技術はもちろん、医療者のきめ細やかな対応にも大きな期待を寄せてくださいます。そして実際に、「日本で治療を受けて本当によかった」と、心から喜んでくださる経験を私も幾度となくしました。


【滞在環境の課題と解決策】

中国には「民は食を以て天と成す」という言葉があるほど、食を重んじる文化があります。家族総出で来日し、手料理を患者さんに食べさせてあげたいという切実な願い。治療は病院の中だけで完結するものではありません。特に食を大切にする中国の方々にとって、家族で食卓を囲める環境を整えることは、治癒力を高める大切な「医療の一部」なのだと痛感します。

患者さんご一行を受け入れる私たちにもまだまだ改善すべき余地があります。特に食を大切にする中国の方々にとって、家族で食卓を囲める環境は治癒力を高める重要な要素です。地域の空き家活用などを通じ、異国の地でも「家族の日常」を維持できる滞在環境を整備していきたいと考えています。

 

真の『希望の架け橋』を目指して

8年前の治療が、一人の女性の「未来」を創った。このことが、私たち医療従事者にとって何よりの喜びです。

医療は、ただ病気を治すだけではありません。一人ひとりの「未来」を創っていくものなのだと、改めて教えていただいた出来事でした。


中国など海外からの医療ツーリズムがより良い形で発展していくために、透明性の高い情報提供、専門性の高い医療通訳の育成、患者さんとご家族が安心して過ごせる滞在環境の整備が必要です。

国境を越えた真の「希望の架け橋」、キャンサーコンパスクリニックが目指す一つの姿です。


最後に、患者さんとご家族へ、今の想いを中国語のメッセージとして贈ります。


亲爱的薛小姐:

得知您喜结连理,我由衷地感到高兴。2018年您在海外接受治疗期间所展现出的勇气和坚韧,至今仍深深地铭刻在我的心中。今天看到您灿烂的笑容,更加坚定了我之前的信念:我们的医疗工作不仅在于治愈疾病,更在于守护像您这样患者的美好未来。衷心祝愿您新婚快乐,永远幸福!



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