情報の海で溺れないために:実践編【言葉と信頼シリーズ 第3回】
- 和田仁
- 11 時間前
- 読了時間: 4分

前回まで2回にわたって、「言葉の力」と、断定的な表現に隠された危うさについてお話ししてきました。
「じゃあ、私たちはどうやって、あふれる情報の中から正しいものを見分けたらいいの?」
今回は、そうした声にお応えする実践編です。情報過多の時代を生きるために必要な「調べる力」と「判断する力」を一緒に考えてみたいと思います。
情報を鵜呑みにしないための4つのチェックポイント
現代はインターネットで検索すれば、あらゆる情報が手に入る情報過多の時代です。しかし、その情報が正しいかどうかを見分けるのは、実は私たち専門家でも難しいことがあります。
ぜひ、以下の4つの視点で確認する習慣をつけていただきたいと思います。
1. 誰が発信しているか?
まず、その情報がどこから来ているのか、情報源の信頼性を確認します。
・個人の体験談なのか、公的な医療機関の公式情報なのか。
・発信者の資格や所属が明確に記されているか。
もちろん、個人の体験談が無価値というわけではありません。しかし、それはあくまで「その人にとっての真実」であって、万人に当てはまる根拠にはなり得ません。
2. 何を売ろうとしているか?
情報には、必ず意図があります。発信者が「何を目的としているか」を見てください。
・健康食品やサプリメント、高額なセミナーなど、商品販売が目的ではないか。
・アフィリエイトや広告収入が目的ではないか。
宣伝自体が悪いわけではありませんが、「これは宣伝である」という前提を知っておくことで、情報の偏りを冷静に受け止めることができます。
3. いつの情報か?
医療や健康に関する情報は、常に更新されています。10年前の常識が、今では否定されているというケースは少なくありません。
記事の最終更新日が古くないか、最新の知見に基づいているかを確認しましょう。
4. どこで発表されたか?
情報の発表形式と場所によって、その信憑性は大きく異なります。
・専門家による査読(チェック)を受けた医学雑誌に掲載された論文なのか。
・個人のブログやSNSの投稿なのか、公的機関のサイトなのか。
ちなみに、医学雑誌にもレベルの差(ピンからキリまで)があるのが現状です。一般に、専門性の高い情報源であればあるほど、その情報の検証体制が整っていると考えられます。ただし、「医学雑誌に掲載された」というだけで鵜呑みにせず、どのような雑誌なのかも確認することが大切です。
SNS時代の落とし穴:「バズる情報」と「正しい情報」
SNS時代には、もう一つ気をつけたいことがあります。それは、「バズる情報と正しい情報は違う」ということです。
感情を揺さぶる言葉や衝撃的なタイトルは、拡散されやすい。しかし、正確さや真実性とは、しばしば別の話です。
特に「◯◯さんはこれで治った」という成功体験談は注意が必要です。その方の体験は本物かもしれませんが、それが統計的に意味のある効果なのか?たまたまその方に合っただけなのか?は、慎重に考える必要があります。
判断に迷ったときのための3つの選択肢
情報があふれ、何を信じたら良いか分からなくなったとき、あなたを守るための3つの選択肢をご紹介します。
1. 複数の専門家に意見を聞く
一人の意見だけで決めず、別の視点も聞いてみましょう。これはセカンドオピニオンという言葉でも知られています。複数の専門家の意見を比較検討することで、よりバランスの取れた判断ができます。
2. 信頼できる医療機関に相談する
かかりつけ医や、公的な相談窓口を気軽に頼ってください。「こんなこと聞いていいのかな」と思わず、疑問や不安を専門家に相談することは、最も確実で安全な方法です。
3. 「今は決めない」という選択肢
これが意外と忘れられがちなのですが、焦って決める必要がないことも多いです。
少し時間を置いて、冷静になってから考える。それも立派な判断です。
情報過多の時代だからこそ、この「立ち止まる力」が最も重要な判断力だと私は思います。完璧な判断はできなくても、深呼吸して考える「その一呼吸」が、あなたを守ります。
次回は、この「言葉と信頼」シリーズの最終回として、私たち発信する側――医療者や支援者としての責任について、深く掘り下げてお話ししたいと思います。
私たちが陥りがちな罠と、患者さんと「伴走する」ことの意味について考えます。




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