がんと生きる、を考える第一歩 ~Medical DOCさん掲載記念トーク~
- 和田仁
- 6月28日
- 読了時間: 4分
がんの告知を受けたとき、人はどんな気持ちになるのでしょうか。そして、その瞬間から、どんなふうに自分の人生を見つめ直していけるのでしょうか。
■「がん」と診断されたときに、まず大切なこと
がんと告げられた瞬間、多くの方が「これからどうしたらいいのか」と不安になります。治療、仕事、お金、家族――あらゆるものが頭の中を駆け巡ることでしょう。
そんなとき、まず大切にしていただきたいのは、「落ちつくこと」です。私は「氣もちと時間に余裕を持って」とお伝えしています。主治医と話し合いながら、治療の方向性や見通しをひとつずつ整理していくことから始めてほしいと思います。「次までに治療法を決めてください」と言われたときも、「もっとじっくり考えたい」氣もちがあれば、それを大切にしてよいのです。
もちろん、がんの進行が早く、すぐに決めなければならないということも稀にあります。ただ、多くのケースでは「落ちつくこと」が可能です。「今」と「未来」の両方をしっかり考え、納得いく選択をしていただけたらと思います。
■治療だけじゃない、「暮らし」の視点も大切に
がん治療は、体のケアと同時に、暮らし方や働き方の見直しも伴います。「仕事を続けるか、辞めるか」ではなく、「働き方を見直す」という選択肢もあります。リモート勤務や時短など、無理のない形で仕事を続けることで、心の支えになる方も多くいらっしゃいます。
また、経済的な心配については、高額療養費制度や自治体の助成、傷病手当金、医療保険など、使える制度がたくさんあります。医療ソーシャルワーカーさんやファイナンシャルプランナー、社労士などの専門家に相談するのも良い方法です。
■こころのケアも、治療のひとつ
がんと向き合うときに、体だけでなくこころのケアが必要になることもあります。孤独感、不安、自己否定の感情……そんなときは、一人で抱え込まないことが大切です。趣味の時間を大切にしたり、信頼できる人と話を聞いてもらったり、同じ経験をした方とつながることも、大きな力になります。
最近は、外見の変化をウィッグやメイクなどでサポートするアピアランスケアや、こころのケアに特化した精神腫瘍科といった専門的なサポートも広がってきました。また、「がんサロン」や「患者会」など、同じ立場の人と出会える場もあり、オンラインでも参加できるようになっています。
また、宗教的・哲学的なケアも選択肢の一つで「臨床宗教家」といった立場の人たちも活躍し始めています。
■がんと生きる、人生の見つめ直し
私自身、あまり好んで使う言葉ではありませんが、「キャンサーギフト」という言葉があります。がんを経験したからこそ得られる氣づきもある、がんと診断されたことが人生のターニングポイントとなることもある、という考え方です。もちろん、がんを“ギフト”として簡単に受け止められるものではありませんが、がんと向き合いながら、自分なりの生き方や考え方を見つけていくことが大切です
そして迷いや不安があるときには、セカンドオピニオンも有効な手段です。別の専門医の意見を聞くことで、自分の選択に自信が持てることもあります。ほかにも、瞑想やリラクゼーション、カウンセリングなどを取り入れることで、ストレスの軽減が期待できます。
前向きな視点を持ちながら治療に臨んでいただけたらと思います。
■医療情報サイト「Medical DOC」さんのコラムに寄稿しました
このたび、こうしたテーマをもとに、医療情報サイト「Medical DOC」さんの医科コラムにも寄稿させていただきました。当院として初めての記事掲載となり、とても光栄に感じております。
医療機関紹介ページ:キャンサーコンパスクリニック(Medical DOC 医療機関ページ)
■おわりに
がんと向き合うには、知識と情報、支援、そして“こころの準備”が必要です。でも何より大切なのは――「自分で選ぶ」という意思を持ち続けること。その姿勢が、きっと人生の方向を照らしてくれると、私は信じています。
キャンサーコンパスクリニックは、「生きたい」を支える医療の羅針盤として、これからもみなさまのそばにあり続けます。

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