• 和田仁

「治った人 ガンと共に生きた人 それぞれから学んだ ガンが治る人への変わり方」(2) 小澤康敏 著


 では、書籍の読書感想文。


 上下2巻それぞれにサブタイトルがあり、上巻が「生きる力こそが治る力」、下巻は「生きる力を妨げるブレーキを外す」でした。大事なサブタイトルで上下巻とも「生きる力」という文言を繰り返されていました。どうも重要なキーワードのようです。

 本文内でも私が共感を覚えた部分がいくつもありました。ということで、各段落の最初に『 』内で書籍の記述部分を引用させていただき、段落後半部分で私が感じたことなどを文章化するのを感想文の基本形とさせていただきました。


 まずは上巻まえがきの最初に、『取材を始めた当初は「ガン治しの秘策」はないものかと”療法探し”をしていました。どこかに隠れた決定打があるのではないか?ツテを頼って先進医療や伝統療法の関係者にお会いしました。しかし明らかになったのは、そのような”魔法”は存在しないという事実でした。』(引用)と記されていました。

 私が【ガンの辞典】サイトで当初に感じた印象は、やっぱり正しかったようです。そして、いくら小澤さんに仕事上のツテがいろいろあったとはいえ、(私の経験上ほぼ間違いなく)気難しい専門家の医師たちにお会いしにいかれた行動力や勇気、これはとても素晴らしいことだと思いました。『そのような”魔法”は存在しないという』のが本当に事実かどうかは厳密にはまだわかりませんが、私もおそらくそのような”魔法”はないのかもと感じています。とはいえ、もしかしたら?という淡い期待も実はまだ持っています。


 続けて上巻のまえがきに『それなら実際にガンを克服した人の体験にこそヒントがあるのではないかと考え、ガン患者さん、ガン体験者さんの取材を増やすことにしました。医学的に厳しいと診断されたがんを克服した人〜治った人、ガンがあっても元気な人、治療しながら長期生存している人〜は、たくさんいるのです。』(引用)とも書かれていました。

 日本の保険診療で可能な(エビデンス好きな医学者に)ベストと評される治療を受けないと治らないのかというと実はそうとは言い切れず、①エビデンス的にベストの治療が確率的により良いというだけで、②ベストの治療でなくても治る方、③ベストの治療でも治らない方、④ベストの治療でないから治らなかった方、のざっくり4パターンの経過があります。そもそも、日本以外の国々では保険診療と非保険診療の境界が曖昧なことが多いようです(たぶんそれが普通?)。また、医学的な確率論だけでなく医療経済的な問題や患者さんの体調や病状で選択肢や可能性は人それぞれであり、奇跡的に自然に治ったと推察される方も世の中には実在していらっしゃるわけです。ただ、そういう経過をたどられる方の確率というのはとても低いから奇跡というのであり、奇跡的な人がしたことを真似してもその人に同様の現象が起きるのはやっぱり奇跡だから、いろいろな面で危険が伴うわけですが。


 『一方で、ガンが治ることなく今回の人生を終えた方々ともご縁がありました。(中略)実際、治らなかった人たちからも多くのことを教えてもらいました。中には、最終段階で私にメッセージを託された方もいます。その方は、ご自身で治らない理由を自覚し受け入れ、その生き方を貫きました。見事な人生でした。本テキストは、サバイブした人、ガンとともに生きた人、双方の多くのガン経験者さんの【生きざま】から得られたものです。』(引用)と上巻のまえがきで締めくくられてから、本文が始まります。

 私もこれまでの診療で、ガンが治ることなく今回の人生を終えられた方々とのご縁はたくさんありました。そして医師になって間もない頃は、自分は現場経験がある医療者という自負(というか過信)から、命に関わる根本的な診療をしたことのない非医療者の経験やご縁などどこまであてになるものかという意見(というか勘違い)をしていました。今でも勘違いしているかもしれません。でも実は、医者と接する患者さんたちというのは(たぶん在宅医療であっても少なからず)医療者との対話という目に見えない非日常的な壁や敷居があるのではないか?という感覚をしばしば覚えるようになり、非医療者である小澤さんのような立場の方だからこそ患者さんとしてでなく一個人として「本音を打ち明けられる」情報がいろいろあるのではないか?と思うようにもなってきました。


 だから、小澤さんのような方々が面談され、どんな治療をすれば良いとか具体的な施術内容よりも、その方その方がどう生きてきたか、といった『ガン経験者さんの【生きざま】』の具体的な記載がとても興味深く診療の参考にもなりました。もちろん今でも大変参考になっています。そして、たまたま偶然といってよいのかわからないような不思議な出来事が起きたりする、個人的に興味を引く(スピ系な?)事象をごくたまにですが目にしたりもしました。



 小澤さんの書籍の中で、私が特に腑に落ちるような共感を得たのが、本文途中で時々付記されている[コラム]の部分でした。『絶対的な療法がない理由』、『寛解・延命も悪くない』など、(全てにというわけではないですが)そうだよねーと頷きながらコラムの文章を読み進めました。

 書籍を読んでない方々、何を言ってるかわからないと思いますが、自己納得の記載です。ぜひ、小澤さんの書籍をお買い求めいただいて、私が何を言ってるかご自身で直接ご確認いただければ幸いです笑。


 下巻の感想文が残っていますが、その(3)にします。


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