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くりにっく初の外国人クライアント様診療


 昨夜、当くりにっく初の外国人クライアント様とオンラインでのセカンドオピニオン診療をさせていただきました。業務提携している方のお知り合いで、数日前から病歴や検査結果などの打ち合わせや資料の翻訳などを作成いただいた上で、診療に臨みました。クライアント様はご家族とともに自宅(母国)からオンライン面談となりました。


 数ある中から当くりにっくをご利用いただき、ありがとうございました。


 私が昨年まで所属していた南東北がん陽子線治療センターさんでも、いろいろな外国の方々が陽子線治療をご希望され来日しました。私も担当させていただくことがありましたが、中国人症例を診療する機会が多かったです。院内の国際医療部の方々にさまざまな調整や通訳をお願いしました。今回、自分でいろいろ調整してみて、診療時間以外にも周りの方々が相当な時間を費やした上で外国人の診療業務が行われているのだということをまざまざと体験させていただきました。

 COVID-19が世界中で問題となっている現在、残念ながら外国人へのがん診療は一時的に途絶えてしまっているようです。でもきっと、オンライン診療が日本でも解禁となったアフターコロナ時代は、これまで以上に外国人症例のがん治療機会が多くなるだろうと予想しています。


 外国の方の診療自体も、言葉の違い、距離の問題、文化や考え方の違い、金銭的な問題など、いろいろ大変です。セカンドオピニオン診療では特に言葉の違い、特に英語(も得意ではない私ですが…)以外の外国語だと、通訳の方を介してクライアント様に診療説明内容がどの程度伝達されたのか、気になる所は少なくありません。翻訳ソフトを上手に活用する手もあるのかもしれませんが、難解な医学用語も多数ありますし今の所そう簡単ではなさそうです。

 もっとも、日本人でもご高齢の方の場合、医療者側の説明に「うん」とうなづかれても、実は難聴でしっかり聞き取れていなかったりとか、聞こえてはいるけれど内容が専門的で理解に至ってなかったりとか、気をつけないとありがちな事ではありますよね。なので、診療の時は、なるべくゆっくり、平易な言葉で端的に、通訳の方にお伝えできるよう、配慮しながらの説明を心がけようと思っています(が、ついまた途中から早口になる癖が出ることがあります…)。通訳される方々との(双方の勉強会などを含めた)情報交換の機会を増やしていくことも大事だろうと改めて感じています。


 他にも診療上のいろいろな課題や問題はあります。とはいえ、日本でより良い医療をご希望される方々は海外にかなりいらっしゃいます。放射線治療分野でいえば、日本は粒子線治療大国。先日のブログでも書きましたが、福島山形宮城の南東北(病院ではなく笑)と京阪神は世界トップクラスの高精度放射線治療クラスター地域。近い将来、関東圏も仲間入りします。どの地域も新幹線などアクセスも良好です。

 粒子線治療が自分の治療選択肢にならないか?と遠方から受診にいらっしゃいます。国内の他の粒子線施設で治療を断られたと南東北がん陽子線治療センターに「再」相談しにこられた外国の方もいました。ある施設で適応外でも、別の施設なら可能かもしれません。そういうマッチング的なネットワーク、医療業界ではほとんど整備されていません。


 メディカルツーリズムを手掛ける業者さんは日本にも外国にもたくさんあります。日本の大病院の(年配)著名医師らと連携し、いろいろなサービスを提供している大手企業もあります。そういうところと比べると、うちは小規模くりにっくで資金もマンパワーも叶いません。

 でも逆に、大きな組織と違って小回りは効かせやすい施設だと思っています。現場の診療最前線の課題も拾い上げやすい環境です。そこを活かし、どのようにしたら日本のおもてなし的なより良い外国人への診療ご提供ができるか、協力関係にある方々と自由でゆるゆるとした連携を取りあい、走りながらいろいろ考えていこうと思っています。




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