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「陰部リンパ浮腫症状が軽減したケア製品エミーナ使用10例の経験」第7回日本リンパ浮腫学会総会で採択


 来月16‐17日に埼玉県川越市で第7回日本リンパ浮腫学会総会が開催されます。私は初参加なのですが、ありがたいことに演題発表が採択されました!タイトルは陰部リンパ浮腫症状が軽減したケア製品エミーナ使用10例の経験です。


 エミーナは、陰部リンパ浮腫に悩む患者さんたちの要望で、岩手県盛岡市のリンパ浮腫療法士瀧沢恵美子さんが開発考案したデリケート部位のケアショーツです。

 

 今回の発表に関連して、これまでの根拠ある医学情報(いわゆるエビデンス)を私なりに調べてみました。いくつかのケア製品が販売されておりますが、実臨床における(つまり使用された患者さんの)治療成績の報告はないに等しいようです。

 この分野の専門家の先生にもお伺いして、やはり論文報告は症例報告すらほとんど検索されないとのことでした。つまり、本発表の内容はとても貴重な臨床データだろうと私は思います。


 陰部リンパ浮腫に関しては、リンパ管静脈吻合術が最良の選択肢のようです。ただ、症状改善を保持するためにも術後の定期的な圧迫療法が必要となります。また、リンパ管静脈吻合術が対象外となってしまう方々にとって、圧迫療法が非常に大事なケアになってきます。 

 がん治療後などの影響で陰部リンパ浮腫にお悩みの方がいらっしゃったら、くりにっくまたは連携するむくみケアサロンで施術担当の女性看護師らとともに、エミーナをはじめとする圧迫療法ケア製品の使用適否などをご相談させていただければと思っています。


 学会総会ポスターも口演発表に関しても、くりにっくホームページ(ブログ)への掲載の許諾を学会総会事務局様から拝受しております。***以下に演題抄録を転載いたしました。正確性を期すため採択いただいた原文のまま掲載しましたので、専門用語がいささか多いかもしれません。わかりにくい部分がありましたら、申し訳ございません。

 日本リンパ浮腫学会総会、どんな感じの雰囲気かよくわかっていませんが、初心者なのでこわいもの知らずな発表になります。もちろん、いろいろな情報などを吸収し今後に活かしたいと思っています。


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【はじめに】がん治療後の陰部リンパ浮腫は難治性であり、リンパ管静脈吻合術(以下LVA)施行例でも圧迫療法を中心とした定期ケアが必要である。現在、ケア製品はパット型やスパッツ型の数種類が存在するが、瀧治療院では2013年から来院患者さんたちのご協力を得て自作ケア製品エミーナを試行錯誤しながら開発し使用経験を重ねてきた。本発表では、これまでの臨床経験をまとめて報告する。


【対象・方法】対象は2013~2023年に瀧治療院でエミーナを使用開始した10例で、全例からデータ発表に関する口頭同意を取得している。初診時の患者背景は、性別:女9・男1、年齢:43~84歳(中央値66歳)、がん種:婦人科6・直腸肛門2・骨軟部1・胆管(腹膜播種)1、がん治療歴:術後照射後5・術後3・照射後2。初診時のリンパ浮腫状況はI期1・II期前期5・II期後期4、リンパ小胞またはリンパ漏併発は5、排尿障害併発は6、リンパ浮腫の原因病態は非がん9・がん緩和1。


【結果】エミーナ使用後の病状評価は、施術時の患者申告を元に施術者が判定した。陰部浮腫は軽減5・消失5(内LVA併用1)。リンパ小胞またはリンパ漏は軽減3・消失2(内LVA併用1)、排尿障害は軽減6。症状改善が自覚された時期は開始2週以内6・1か月以降4。患者の転帰(2023年8月現在)は現病死4・生存6で、生存全例が現在もエミーナ継続中である。エミーナ使用に起因する明らかなGrade 3(CTCAE ver 5.0)以上の副作用は確認されなかった。本発表では、子宮頸がんIB期術後と胆管癌腹膜播種緩和ケアの2例の症例提示も行う予定である。


【まとめ】陰部浮腫の自覚症状改善率100%と有効で、排尿障害やリンパ小胞(漏)も、全例で軽減が得られた。また、装着後2週間以内の改善率60%と、即効性も期待された。長期に継続着用しても目立った有害事象はみられていない。今後の課題は、より客観的な効果判定法の見直しと更なる症例集積による解析と考えるが、エミーナは難治性な陰部リンパ浮腫に対する圧迫療法の有効で安全な選択肢の一つと思われた。


【演者・所属】

和田仁、和田弘美 がんコーディネートくりにっく

瀧沢恵美子 瀧治療院もみの木




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