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「コロナ時代の最先端がん放射線治療 -短期・低侵襲放射線治療の最前線-」 日本放射線腫瘍学会・公開市民講座に参加


 10月22日土曜午後、TKPガーデンシティ仙台で「コロナ時代の最先端がん放射線治療 -短期・低侵襲放射線治療の最前線-」と題した、日本放射線腫瘍学会第34回学術大会市民公開講座が開催されました。  現地参加とインターネットライブ配信によるオンライン参加のハイブリッド開催でしたが、地元仙台での開催ということなのでせっかくの機会だし、演者の先生方へのご挨拶を兼ねて私は現地で聴講しました。誠に残念ながら、学会本番はCOVID-19の影響でオンライン開催のみとなりましたが...


 公開講座に先立って、今回の学術大会長の山形大学医学部東日本重粒子センターの根本建二センター長(山形大学副学長)から、「南東北地方は実は世界から見てもものすごい放射線治療装置が密集した地域です」とのご挨拶がありました。具体的には「国内ではまだほとんど導入されていない最先端のMRIを使ったX線放射線治療装置、病院設置型は世界で2か所しかない(いずれも日本!)BNCT装置、さらに国内で7か所目、世界を見渡してもまだ13か所しか(そして医療大国アメリカにはまだ)ない重粒子線装置があり、この3つあるのは世界中でここ南東北地方と京阪神地方のみという非常に恵まれた地域」とのことでした。

 今回の市民公開講座では講演がありませんでしたが、南東北地方にはさらに陽子線治療という別の粒子線治療装置もあり、根本先生曰く「クラスターのように集中」していて放射線治療を検討するには最高の地域なのです。

 講演の最初は、東北大学放射線腫瘍学講座の神宮啓一教授による「定位放射線治療の最前線」、次の講演は、南東北BNCT研究センターの髙井良尋センター長(弘前大学医学部名誉教授)による「中性子捕捉療法(BNCT)の最前線」、最後の講演は根本建二センター長による「重粒子線治療の最前線」でした。

 全員、ご高名な先生方ですが(私も東北大時代に在籍した)東北大放射線科医局の先輩後輩の関係であり、さらに各先生が現在所属されている施設で私も同時期に仕事をご一緒させていただいたことがあります。


 専門的なお話を、専門家の立場からわかりやすい表現を意識された、スライドを使ったご講演でした。それでも、一般の方はちょっと難しい内容だったかな?

 まあ、市民公開講座というものは(ごく一部のすごく勉強されている方々をのぞいて)、「なんかすごいな〜」というのがなんとなく感じられ、「そういう選択肢が(今後)もしかしてあるのかも」という情報が得られれば良しなのかな?と、一般の側から講座を聴講し、ついそんな気分になってしまいました。これまで自分が担当させていただいた市民公開講座での反省や自戒をこめながら...


 市民公開講座のフライヤー裏面に記載されている紹介文を『』以下に引用いたします。

『放射線治療技術の進歩は急速で、短期間で治療が終わる、体への負担が少ないなど、コロナ禍により適した新しい治療法も登場してきています。一方で、治療機器は高額で、施設も限られているため、都道府県境を越えた広域での装置活用が課題となっています。この講座では、これらの情報を市民の皆様と共有し、広域活用の推進を目指します』


 今回ご講演いただいた最先端放射線治療、いずれもがんを狙い撃ちできる大変優れた装置ばかり。ですが、適材適所というか、それぞれに長所と短所がやっぱりありまして、どんな状態のがんでも治せる夢の装置というわけではありません。私が感じているそのあたりの具体的なお話(ピットフォールみたいなこと)は改めてブログで話題にさせていただきます。


 また、同じくフライヤー記載の『都道府県境を越えた広域での装置活用が課題』ですが、実は東北地方には今回の学会当番の山形大を中心にがん拠点病院をはじめほぼ全ての放射線治療施設を直接オンラインでつないだ全国を見ても画期的な多施設テレビ会議システム「広域がん放射線治療ネットワーク」がすでに構築されているのです。

 しかし、残念ながら一部の施設を除きせっかくのシステムを活かせておらず、ほとんど利用されていないのが実情です。私も現場で実感してきたこの課題、こちらもまた別の機会にブログのテーマにしたいです。


 もちろん無い袖は振れないので、まずは優れた治療装置が近くに存在することが大事です。しかし、モノがあるからといって使う人や置かれた環境によって有効活用される(適した患者さんにきちんと治療をご提供できる)かは、現実問題として少し別の話になってしまっています。ルールの話を含めて...これも改めて別の機会に

 


 南東北地方に集中する(もちろん他の地域も)さまざまな最先端がん放射線治療装置広域活用の情報収集や、個々の病状に適した施設・専門医師の選択など、がんコーディネートくりにっくにお気軽にご相談いただければと思います。

 私(院長)は約30年もの間、諸事情で南東北地方の施設を転々と渡り歩きましたし、各地域、各施設の(裏)事情もそこそこ把握しております。どうぞ、ご活用ください。

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