書店のがん医療系ブースを眺めると、がん専門医師たちが執筆した本からがん患者さんの体験談まで、いろいろなジャンルの書籍がたくさん並んでいます。査読という専門家たちによるきちんとした事前評価がなされ承認を受けた後に公開される医学論文と違い、そういった書籍は内容確認がほぼ無防備な状態で販売されていることが多いので、記載を鵜呑みにできないことが少なくありません。もちろん医学論文も、評価する専門家や医学雑誌のレベルによっては信頼度はまちまちではありますが(一つの目安がインパクトファクター)。
新聞の一面下段などに掲載される書籍の広告は、売りたいがためか誇張表現がかなり多いですね。たまに医療者などからのクレームで新聞社から掲載のおわびが出ることがありますが、時すでに遅しというか逆に宣伝効果を高めている印象すら受けます。また、Amazonなどインターネット販売サイトでもいろいろな書籍が☆ランクとともに口コミでいろいろな評価コメントが数多く掲載されています。ほとんどが匿名投稿ということもあって、高得点も低得点も客観性に乏しい評価が少なくありません。
実はうちのくりにっくにも、添付画像のように一般の方向け(?)がん医療関連の書籍をいろいろ置いてあります。病院などで診察を担当させていただいた方々から「この本、どうなんでしょうか?」とご質問があったり、自分自身がそういう情報に興味を持っていたこともあって、ぼちぼちと買い集めてきました。
くりにっくに直接ご訪問くださる利用者さんでご希望がある方々には無料貸出をすることもあります。貸し出す機会はまだ多くないのですが…苦笑
これら書籍を実際に手にして読んでみて、私からみた記載内容の信憑性というのは玉石混交です。例えば、ある書籍でがん症例の経過報告が紹介されていた場合、著者が医師だと「この治療法の効果は正しいに違いない」と一般の方々には思われがちな記載内容であっても、いろいろな病院で実際の検査結果を照らし合わせながら全臓器の多数のがん症例を直接診療してきた放射線腫瘍医の私たちの立場から読むと「うさんくさい」とか「これ他の治療が効いてるんじゃない?」といったケースが実はけっこうあります。医療者ではない施術者とかサプリメント販売会社の方々、さらには一般の方々が書いた本では、どうしてそこまで断言できるのだろうという思い込みや誇張を強く疑う記載もたくさんあります。
一般の方々は(書籍だけでなくネット情報やSNS口コミなどの)そういった情報を、本人だけでなく周りの方々からのおそらく善意の気持ちからくる押しつけを含め、限られた時間の中で心身不安定な状況でなかなか冷静に判断できず、何をどう信じていいか悩むことがしばしばなようです。
ということで、くりにっく書棚に積んであるいろいろながん医療系の書籍について、私なりにこのブログで、ただ否定するでなくただ賛同するでなく、第三者的な個人的書評というか読書感想文的なブログを、これから時々ご紹介させていただこうと思っています。自分の備忘録を兼ねて。
もちろん、私の記載だって私の勝手な思い込みが少なからずあると思います。また、出版社の方々など多数の専門家(?)が手掛けた書籍執筆者の方々らに対して、まだ単独で書籍を出したことのない私がコメントするのはおこがましい部分もあろうかと存じます。ついでに言い訳がましいですが、私の小学生時代の夏休み課題で最も苦手とし最後まで先送りしていたのが読書感想文でしたし。
どうか参考程度にご覧いただければ幸いです。
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