• 和田仁

くりにっくでリンパ浮腫(むくみ)診療開始

 くりにっくでは令和4年9月(つまり今月)末頃から、病院でのリンパ浮腫診療に必要な資格を有した看護師さんらと業務提携し、複合的理学療法(スキンケア、用手的リンパドレナージ、圧迫療法、圧迫下での運動療法)と呼ばれる施術を行い、お一人おひとりの生活スタイルに沿ったむくみ(リンパ浮腫)ケアをご提供することになりました。かかりつけ主治医がいらっしゃる利用者様はもちろん、がん治療が終了し現在は定期診察を受けていらっしゃらない方々も、必要に応じてリンパ浮腫を専門的に診療されている医療機関との連携をご提案させていただきます。

 リンパ浮腫をはじめとするむくみ全般の予防や解消に効果のある弾性着衣のフィッティング、相談、保険申請の仕方などのアドバイスや弾性着衣販売も行いますので、お気軽にご相談ください。


 また、改めていろいろなご案内をさせていただきますが、仙台市街にむくみケアサロンCamomille(カモミーユ)を近日オープン予定です。緑豊かな青葉通に面した仙台市地下鉄南北線大町西公園駅徒歩2分の場所で、医療機関の雰囲気とは異なる癒やしの空間でリラックスした施術やケアを、在宅緩和ケアや訪問看護・緩和ケア病棟などで多様な臨床経験や判断力・観察眼を養ってきた看護師さんが必要に応じてくりにっくなどと連携しながら、ご提供いたします。アロマセラピーを組み合わせたトリートメントや、マッサージ的なリラクゼーションヘッドケア・ハンドトリートメント・フットケア、またがん患者さんなどへのアピアランスネイルなど、利用者様のご希望にあわせたオプションも予定しています。


 がんコーディネートくりにっく、むくみケアサロンCamomille(カモミーユ)、どちらもホームページなどで近日公開予定です。改めてブログなどでも告知させていただきます。

 

 以下に、むくみ(リンパ浮腫)について、複合的理学療法や病期分類の專門用語を含め、簡単なご説明を記させていただきます。


【むくみとは】

皮膚の下(皮下組織)に余分な水分がたまる状態のことを言います。

症状としては手足などが腫れぼったくなることが一般的です。

例えば、指で押した痕が戻りにくかったり、張って重いといった症状などがある時は、むくんでいるサインです。

いろいろな病気が原因でむくむことがあります。血流障害や新陳代謝の低下、筋力低下などがその一つと考えられ、血液の流れが悪くなると体内の水分の流れも悪くなり身体の外にうまく排出されないことで、むくみがでてきます。

座ったまま、立ったままなど同じ姿勢を続けることや、食事・運動不足・ストレス・ホルモンバランスの乱れなどで、むくみがでることもあります。


【リンパ浮腫とは】

全身の皮膚のすぐ下(皮下組織)には網目状に張り巡らされている多数の管があり、リンパ管といいます。

リンパ管の中にはリンパ液が流れており、皮下組織の細胞間に余分にたまった水分やタンパク質や白血球などを運んでいます。

また、主に脇の下や足の付け根、首の付け根あたりに、リンパ液のフィルターのような役割を果たしているリンパ節がリンパ管とたくさんつながっています。

リンパ浮腫は、手術でリンパ節を取り除いたり、放射線治療や抗がん剤治療などの影響でリンパ管が詰まったりして、リンパ液の流れが停滞し起こるものです。

治療直後に生じることもあれば、10年以上経過してから生じることもあります。

リンパ浮腫は一度発症すると治りにくく、症状が進行すればするほどケアも複雑になります。

症状が軽いと自己管理によって改善できますが、進行すると皮膚が硬くなったり、手が動かしづらかったり、歩きづらいなど日常生活が困難になることもあり、早期発見・治療、毎日のケアが重要です。


【複合的理学療法とは】

リンパ浮腫に対し、きちんとした有効性が示されている保存的療法です。

スキンケア、用手的リンパドレナージ、圧迫療法、圧迫下での運動療法という4つの要素を一人ひとりの症状に即して実施し、患肢挙上、生活リスク管理などのセルフケア指導により相乗効果を生み出します。

蜂窩織炎(ほうかしきえん)という重い炎症、深部静脈血栓症急性期という治療で血栓が飛びやすい時期は、複合的理学療法の禁忌と言われています(2020年度新リンパ浮腫研修テキストより引用)。必要に応じて皮膚の診察や体温測定、D-Dimer採血などで確認します。

● スキンケア

治療開始前に施術が可能か判断するために、医師または看護師が皮膚などの状態を確認いたします。日常生活においても皮膚を清潔に保ち、保湿をこころがけることが大切です。

● 用手的リンパドレナージ

皮下組織の細胞間に余分にたまっている水分やリンパ液を、専門的な医療マッサージ手技により健康なリンパ管へ流し、むくみを改善させることができます。

● 圧迫療法

むくみの状態によって、弾性包帯を巻いて圧迫をする方法と、適切な弾性着衣(弾性スリーブ・弾性ストッキングなど)を着用する方法を上手に組み合わせて行います。用手的リンパドレナージにより改善された皮膚や皮下組織の良い状態を維持し、水分やリンパ液の排液を促す効果があります。

● 圧迫下の運動療法

弾性包帯・弾性着衣により患肢を圧迫した状態で、筋ポンプ作用を活かして効果的に組織液やリンパ液の流れを促す運動を行います。圧迫療法による水分やリンパ液の排液を促す効果をさらに高めます。


【リンパ浮腫の病期分類(国際リンパ学会)】

リンパ浮腫診療ガイドライン2018年版より引用したリンパ浮腫の病期分類を以下に記載します。

くりにっくやサロンでは主に0−II期で症状が安定した方々の外来施術やケアを行います。II期後期−III期は、リンパ浮腫専門施設で入院治療を要することが少なくありません。


● 0期

リンパ液輸送が障害されているが、浮腫が明らかでない潜在性または無症候性の病態

● I期

比較的蛋白成分が多い組織間液が貯留しているが、まだ初期であり、四肢を挙げることにより治まる。圧痕がみられることもある

● II期

四肢の挙上だけではほとんど組織の腫脹が改善しなくなり、圧痕がはっきりする

● II期後期

組織の線維化がみられ、圧痕がみられなくなる

● III期

圧痕がみられないリンパ液うっ滞性象皮症のほか、アカント−シス(表皮肥厚)、脂肪沈着などの皮膚変化がみられるようになる